私たちの大切なブランド価値をいつ低下させるかもしれないレピュテーションリスク。
では、レピュテーションリスクはどのようなタイミングでどのようなところから訪れるのでしょうか?
レピュテーションリスクは群集心理と深い関係性があります。
イギリス心理学者W・マクドゥーガルは群集心理の特性として
などの項目を掲げています。これらはレピュテーションリスクが実現する現場においてしばしば目撃される要素でもあります。
ここでは、企業を襲うレピュテーションリスクを5種類の典型に分類して紹介しましょう。
たとえば「近年、○○業界の業績が悪い」「○○業界大手のA社の業績が悪い」という断片的な事実から「A社は経営破綻するのではないか」「A社と規模・業態が似ているB社も危ないのではないか」「○○業界全体が危険なのではないか」といった憶測が広まった結果消費者離れや投資家離れが進み、経営危機が現実味を帯びてくるといったものです。「単純かつ不完全な推理」でステークホルダーが暗示にかかってしまった状態といえるでしょう。
内部告発者によって社内の不祥事が発覚するのは、企業にとって大きなダメージです。日本ではオリンパス社巨額損失隠し事件が大きな社会問題になりましたが、この事件の発端も社員による内部告発から始まりました。
内部告発は、告発者にとっても致命的となりかねない社会的リスクがあります。それだけに「よほど深刻な問題が意図的に隠蔽されてきたのだな」「自浄能力を持たない会社なのだな」という市場からの評価に直結しやすいのです。市場からレッドカードを突きつけられる可能性もあります。
企業ブランド力には「伸びしろ」というものがあります。これは、企業がビジョンとして社会に提示した要素に対して市場が企業の「主張以上の期待」をする場合に発生します。しかし現実と期待の間にあまりにも大きなギャップがあった場合、市場は企業に対して否定的な反応を示す場合があります。
ある企業が「画期的な新製品」についてビジョンを語ったところ、それが市場に過剰な期待を持たせてしまい、実際に登場したプロダクトにそれほどのインパクトがなかった。そういう際にこのレピュテーションリスクが発生しやすくなります。
また企業が自社のブランディングに注力し過ぎ、「社会に捉えてほしいブランド」が自社の実力と乖離した場合にもこういうレピュテーションリスクは発生しやすくなります。
これは就職・転職情報サイトなどの掲示板でよくみられるレピュテーションリスクです。
当人が辞めた会社に対して客観公平に感想を述べることは特に悪いとはいえません。問題なのは、当人が「腹いせ」あるいは「逆恨み」を晴らそうと、事実無根の情報をネット上に拡散する行為です。
そういう人物は自分の行動を正当化し犠牲者を装うため、ネットの匿名性を悪用して多くの第三者に事実無根の虚偽を吹き込みます。元当事者であるため、説得力のある巧妙な嘘をつけるのもこのタイプの悪質なところです。
アルバイト学生や若者の幼稚な言動によって企業が倒産に追い込まれたり、名門校の名誉が著しく傷つけられるなどの被害が発生しています。「面白半分」「騒ぎが大きくなるのが面白かった」など、まさに群集心理の「衝動性」や「自尊心と責任感の欠如」を地で行くような報道が多くみられます。
このような被害の発生は残念ながら根治できませんが、それでも適切なレピュテーションマネジメントによって被害を最小化することは可能です。
騒ぎを放置してそれがマスコミに取り上げられるようになると、レピュテーションマネジメントによる対応策も限られてきます。普段から「風評被害を発生させない強い企業体質」を整えておくことで、レピュテーションリスクは最小化して管理することができます。
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